生きづらさを抱えた女性の福祉事業所「amiga」のブログ

生きづらさを抱えた女性の福祉サービス事業所/ 自立訓練(生活訓練)/ 福岡

インスタもやってます♪https://www.instagram.com/amiga.5151/リール動画見てみてねー

NPO法人アコアの活動及び「アミーガ」の成り立ち

 私たちアコアは、DV・虐待、機能不全家族摂食障害や依存症などの「生きづらさを抱えた」女性当事者団体です。活動は2007年にはじまり、2017年5月に福岡市認証のNPO法人になりました。 

 アコアは、当事者女性たちの「経験と力と希望」を分かち合い、今まで抱えてきた「生きづらさ」を見直して、互いに回復を助け合っていく共同体です。 

 私たちの目的は、一人で悩むことをやめ、同じような問題を抱えた仲間と出会い、互いに助け合いながら、共通の問題の解決に向けて、今までより、楽な生き方を達成できるように助け合うことです。

 ※アコアは、特定の政治団体や宗教団体には縛られておりません。メンバー同士の特定団体への勧誘行為、ネットワークビジネス等は禁止。どのような活動も強制されることはありません。

 

 活動内容は、自助グループミーティングを中心にトラウマケア等の心理勉強会、瞑想会、個別面談、生活支援(引っ越しのお手伝い)等の他に弁護士・警察・病院・役所の同行支援等も行っておりました。現在、NPO活動としては自助グループミーティングと瞑想会のみを実施しています。  

 ※2022年9月に女性のための福祉サービス事業所 『アミーガ』(トラウマケアを中心とした)自立訓練(生活訓練)事業を開始し、個人面談、心理勉強会、生活援助、同行支援等の活動はその枠組みの中で実施しております。

 

 

■■■【自助グループミーティングについて】■■■

                 ※ミーティングはMTGと略します。

 アコアでは、‘生き辛さ’や、‘生きている’ことの苦しさで悩んできた人たちのための、回復していくプログラムのひとつとして、自助グループMTGを行っています。

 自助グループMTGは、一人で悩むことをやめ、同じ問題を抱えた仲間に出会い互いに助け合いながら回復していく為の「安全な場」です。

 これまでひとりで抱え込んできた、怒り、混乱、不安、悲しみなどを語る「言葉」を手に入れ、それらを用いて、自分について・自分と親や他者との関係について、同じような感情体験を経験した仲間に見守られながら安心感とともに語り、語ることで自分を癒すという作業から始まります。

 新しい仲間と出会い、その回復の手助けをすることは、自らの成長と回復のために、そしてこれまでに学んできたことを分かち合うためにも、とても大切なことです。  もちろんグループにいてもすぐに答えが見つからないこともあります。しかし大切なことは、決めつけず、あきらめず、気楽に、そして一緒にその答えを探し求めていくことです。

 自助グループMTGには「言いっぱなし・聴きっぱなし」のルールがあります。否定や批判、勝手なアドバイスや「決めつけ」など、周囲からの干渉を受けることはありません。まわりの人の反応を気にすることなく、自分自身の胸の内にあることをそのまま自分の言葉で語ることができます。他にも、自助グループならではの大切なルールがいくつかあり、毎回ファシリテーターが参加者の心的安全の場を守っています。

 

 アコア自助グループの始まりは2007年11月。NPO法人アコア代表の和根崎の拠点であった東京武蔵野市で仲間のマックスと立ち上げました。 

 2011年の震災を機に和根崎が福岡に移住し、多くの方のご縁と応援を頂きながら福岡でも自助MTGを開催するようになります。自然な流れでアコアMTG以外にも性暴力・性虐待の自助「ロータスアコア」、摂食障害の自助「オリーブアコア」、家族の自助「あじさいアコア」、喪失を嘆く「グリーフケアMTG」などが誕生しました。

※現在は生きづらさ全般のアコアMTGと性虐待性暴力の被害者の自助「ロータスアコア」の2つのグループが毎月開催を継続しております。

 

 アコアはとてもオーガニックな広がりを見せています。参加者の仲間の方が別の自助グループを立ち上げたり、関西在住の仲間は「アコア大阪」(池田市)を立ち上げ、心のケア講座、読み合わせ、アートワーク等の自助活動を展開しておられます。 

 また、現在アコアのlineグループには40名ほどのメンバーが参加されています。県外に転居した仲間の一人はlineグループ内で、自助MTGとは少し違った趣旨の「オンラインカフェ」を、不定期で(朝15分と夜15分間)継続開催してくれています。 自然発生的なこうした広がりは本当にとても嬉しい現象です。

 

 

■■■【心理勉強会~心の回復クラス・読み合わせ~】■■■

 トラウマを抱えることになった当事者の私たちが「自分に何が起こったのか」「自分が育った家族機能はいかなるものだったのか」「暴力の本質とは何か」「過去の喪失の正体やその喪失が今の自分にどのような影響を与えているのか」「機能するコミュニケーションとは」等の学びは、自己信頼を取り戻し自分自身を生きるため、自己理解を深めるためにも役に立ちます。

 また、自助グループ運営をより安全に行うためにも、参加メンバーが共通理解と共通の言葉をもつことは有益です。 

 心理勉強会以外にも、アダルトチルドレン、ライフレッスン(グリーフケア)、女性のエンパワメント、人権に関する本の読み合わせも行っています。

 勉強会や読み合わせの際に行うひとりひとりシェアの時間はとても有益だとご好評をいただいております。自助グループ特有の’安全安心のルール’に守られていることもあり、気づきや体験、抑圧されてきた感情を分かち合うことで、互いに励まし合うエンパワメントが自然に生まれてきます。

 

 

■■■「自助アコアから福祉サービス事業所へ」

 福祉サービス事業所「アミーガ」を立ち上げるまでの経緯をご説明します。

 

 勇気を出して自助アコアにつながってくれた女性たちと関わる中で、私たちが痛感していたこと、同時に困っていたことがありました。それは回復やケア、自立を目指す以前に必要となる安全安心の暮らし(日々)が簡単には得られないこと、非常に難儀であるという現実でした。

 頼る人がいない女性たちにとって「逃げたら安全・安心、もう大丈夫」とはならないという現実です。

 

 トラウマ被害の影響として「PTSD」という症状があります。それらは暴力あるいは暴力的な環境(相手)から離れた後、安全な環境に置かれてからこそ強い症状があらわれます。帰還兵が安全な自宅に戻った後、戦時中のトラウマに苦しむのと同様です。

 症状としてはフラッシュバックや連日の悪夢、鬱、自律神経の乱れなどがあり、よって日常生活がままならなくなります。傷つけられた自尊心による自己評価の低さによってアサーティブになれず自分の意見が言えない。学習性無力感により助けを求められない。選択肢がないと思い込んでしまう状態に陥りやすいなど。そうした状態の女性たちにとって、自立に必要な役所の手続きや弁護士相談や警察、医師への相談は精神的にかなりの負担がかかるものです。こなすこと自体が非常にハードルが高いものとなります。周囲への不信感や警戒心が過剰に働いた状態の女性が自分一人で自分の暮らしを立て直すのは不可能に近いと言えるほど困難なのことなのだ、と私たちは痛感しました。

 引っ越しひとつにしても、不動産屋・引っ越し業者・管理会社には男性スタッフが多いですし、たまたま威圧的な男性スタッフに当たったり、さらにはストーカー的に狙われたなどした場合には酷いフラッシュバックが起こります。もちろん相談窓口での二次加害的な対応に打ちのめされてしまうことも多くあります。

 経済が機能しなくなり金銭的に追い込まれる方も多くいらっしゃいます。たとえば鬱症状が悪化し自殺企図をして緊急搬送されたり、あるいは心身の状態に異変が起こり救急車を呼んだとしても「帰りのタクシー代がない」「タクシーが呼べない」など。私たちの所に連絡がきます。

 

 私たちは自助グループで繋がった仲間同士で呼びかけあい、同行や代行支援を行うようになり、小さな引っ越しであれば仲間の車を使ってサポートしました。

 当時のアコアの事務所は『アコアハウス』と呼ばれていた一軒家でした。諸事情を抱え一時緊急避難を求める女性、転居先が定まらない女性、暴力から避難してくる県内外の女性たちなど都度受け入れをしているうちに、いつのまにかアコアハウスは、シェルター状態になりました。

 保護課に同行し、生活保護に繋ぎ、アコアハウスの大家さんに依頼して「間借り契約」を許諾して頂くなど、、、都度、必要に迫られて行ってきた私たちの活動は、いつのまにか福祉サービスと同じようなものになっていたのでした。

 

 そして2020年、新型コロナウィルス感染症の拡大によって、それまで活動資金としていた勉強会や相談事業での収益が集まらなくなりました。和根崎はDV相談等のバイトをしながらそれまで通りの支援をできる範囲で続けていましたが、危機的状況という現実を受け止め一念発起、福祉業界で働いていた仲間の田中(現在のアミーガ管理者)と「福祉サービス事業という枠組みの中でこれまでのアコアの活動を行えないものか?」と、事業所展開を模索することを決めたのでした。

 

 当時女性だけの福祉サービス事業所というのは見当たりませんでした。唯一見つけた事業所が、京都にひとつあったため、連絡をし、視察に伺わせていただきました。

そこから運よく周りの方々からのサポートを頂きながら、2022年9月、女性のための福祉サービス自立訓練(生活訓練)事業所「アミーガ」を開設することができ、今に至ります。ここまで応援してくださった皆様に心より感謝いたします。

(アコアハウスは2023年の年末に解約をいたしました)

 

 

■【自立訓練(生活訓練)事業所「アミーガ」】

福祉サービス事業所「アミーガ」は開所から2年が経ち、現在21名の女性の方々が利用者様として登録してくださっています。

 18歳から66歳までと幅広い年齢層ですが、「境界線」「アサーション」「認知行動療法」等のコミュニケーションやトラウマ反応(投影・フラバ)等の勉強をしているメンバーさん達ですから、心的安全な距離感を守ることの重要性を理解し、機能する場づくりに積極的に協力して下さっています。

「自分の大切な居場所だから守りたい」と仰って頂けて本当に嬉しい限りです。

 

 アミーガでは、バースデーや歓迎会、縁日や文化祭、発表会など、祝うことや楽しむことに全力で取り組んでいます。過去に受けた暴力やその影響がすべてなくなることはないけれど、過去を過去にするために、今を楽しむことを全力で取り組むように心がけています。 

 

 

【アミーガのメンバーさんから頂いたお声をご紹介します】

  • トラウマケアのクラスなどがありストレス対処がうまくなった。スタッフの方々が女性の抱えやすい問題について意識が高く、よく勉強されているので、あたたかい適切なサポートを受けることができる。
  • 女性のみで安心。安全について配慮してもらえる。個々の問題についてきちんと傾聴したうえで解決を目指して一緒になって取り組んでもらえる。
  • 豊富なプログラムを通じてセルフケア等の方法を身につけ、安心感を増やしていける。LGBTQに理解がある。居心地が良い。生活リズムが整った。よく笑うようになった。
  • スタッフが自分のこれからの生き方など親身なって考えてくれたり、行動を一緒にしてくださり、感謝している。普段出来ないような話を気負わず話せるので、少し気が楽になる。
  • アミーガへ来ると、縮こまっていた心や体がいやされて、ほっとする。丁寧においしく作られた食事、気遣いをしてくれるスタッフさん達。まだ利用し始めて日が浅いが毎回“来てよかった”と思える。
  • 福祉事業所や医療機関、相談機関などいろいろ利用してきたが、二次被害に遭ったり、女性のおかれる状況に理解のないところが多く、解決できない問題を抱え込んで苦しかった、でもアミーガではきちんと対応してもらえて、ずいぶん楽になった。
  • 通所前は一人で悩みを抱え込んで辛かったが、問題解決に向けて少しずつ前に進み気持ちが楽になった。アミーガに来ると“居場所”としての安心感、私はここに居ていいんだ、というような自己肯定感が上がってきたように感じる。困難があってもなんとかなる!と思えるようになった。
  • 自分の直面している問題をみつめる勇気がもてるようになった。睡眠の質がよくなった。心身を休める時間が増えた。ひとりで悩んでいる方がもし居れば、一歩踏み出してつながってほしい。 アミーガは、存在を、尊厳を大切にしてくれる。
  • アミーガは女性が直面する困難に対して知識と理解がある。
  • 「ここがある」と思うといろんなことを頑張れる気持ちが出てきた。居場所があると思えるので少し余裕が持てるようになった。
  • 怒りの処理の方法が知りたくてここを選んだ。今までこんなふうにACのことを話せるところがみつからなかった。AC関連のアドヴァイスをもらえるのでありがたい。
  • 福祉は初めて。ブログを見て選んだ。こんなに守ってもらえたことがないから不思議、うれしい。自分一人では乗り超えるのにはハードルが高くて、つい目をそらしてしまう事(AC、暴力、トラウマetc...)も仲間と一緒にみつめられるプログラムが沢山ある。充実した内容で学びが多いと思う。